ブランド検索と非ブランド検索のトラフィック

オーガニック検索をブランドクエリと非ブランドクエリに分ける方法を説明します。エンタープライズ規模で混合した数字が誤解を招く理由、Google の新しい GSC ネイティブブランドフィルター、regex/Looker Studio/Rank Tracker を使って自分で分割し、経営陣へ報告する方法を扱います。

初回公開:2026年7月3日 · 最終更新:2026年8月8日 · Advanced
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ブランドクエリにはブランド名、バリエーションや綴り間違い、自社に固有の商品が含まれ、非ブランドクエリはそれ以外です。エンタープライズ規模では、PR、広告、口コミ、既存顧客などから生じたブランド需要が、混合した「オーガニック 20% 増」を SEO の成果に見せたり、非ブランドの減少を隠したりします。非ブランドの成長は、コンテンツとテクニカル SEO が新しい可視性を獲得しているかを測る明確なシグナルです。分割には、Google の GSC ネイティブブランドクエリフィルター(AI 支援、2025 年 11 月開始、カスタマイズ不可、トップレベルプロパティのみ、完全な過去補完なし)、維持管理するブランド用語リストを GSC/GA4 や Looker Studio に regex で適用する方法、Ahrefs Rank Tracker の順位レベルタグ付けの 3 方式があります。経営陣へはブランドと非ブランドを別々の行で報告し、収益と組み合わせます。ブランド増加を SEO の功績と決めつけず、PR や AI 引用の影響も確認します。

TL;DR — オーガニックをブランドと非ブランドに分けるのは、「どちらが優れているか」という議論ではなく、報告方法 の問題です。エンタープライズのブランド需要は主に SEO 以外の経路(PR、広告、口コミ、既存顧客)から来るため、混合したオーガニック数字は SEO が実際にしたことを体系的に過大評価したり隠したりします。非ブランドの方がコンテンツとテクニカル SEO の明確なシグナルです。分け方は三つあります。Google の GSC ブランドクエリフィルター(AI 支援、regex ではなく、2025 年 11 月開始、トップレベルプロパティのみ、完全な過去データの補完なし、カスタマイズ不可)、GSC/GA4 の regex または Looker Studio ダッシュボードで維持するブランド用語リスト、Ahrefs Rank Tracker の順位レベルのタグ付けです。二つを役員には別系列で報告し、収益と組み合わせ、ブランド増加を反射的に SEO の功績にしないでください。ブランドマーケティングや AI 引用が原因かもしれません。 Evidence for this claim Search Console query data can be filtered with regular expressions to create analyst-defined brand and non-brand segments, subject to anonymized-query and row limits. Scope: Current Search Console filtering; Google does not provide a universal brand classifier. Confidence: high · Verified: Google Search Console: Performance report filters Evidence for this claim Search Console measures search visibility and clicks, while analytics acquisition dimensions use separate attribution scopes; branded-query growth does not by itself identify the causal channel. Scope: Current GA4 traffic-source scopes and attribution distinctions. Confidence: high · Verified: Google Analytics: Traffic-source dimensions

「ブランド」の実際の意味(境界が曖昧な理由)

ブランドクエリは自社を名指しするクエリです。Google 自身の定義は明確で、“your brand name (for example, Google), variations or misspellings of the brand name (for example, Gogle), and brand-related products or services: (for example, Gmail).” (翻訳) 「ブランド名(例:Google)、ブランド名のバリエーションや綴り間違い(例:Gogle)、ブランド関連の商品やサービス(例:Gmail)を含むクエリです。」非ブランドはそれ以外で、検索者が自社を選んでいない一般的なカテゴリ・問題解決クエリです。

これをきれいな二択と考えるのが落とし穴です。実際には違います。「Apple」「Square」「Monday」のように一般語を社名にした会社は、通常の用法と衝突します。「Photoshop」を動詞として使う場合や、どんなティッシュにも「Kleenex」と呼ぶ場合のように、商品名も一般語になると境界がぼやけます。Google 自身も曖昧さを認め、“some queries may occasionally be misidentified.” (翻訳) 「一部のクエリはときどき誤って識別される可能性がある」と警告しています。どの方法を使うにせよ、グレーゾーンを見込んで判定方法を一貫させてください。四半期ごとに定義が変わると、トレンドが意味を失います。

エンタープライズ規模で重要になる理由

認知がない新しいサイトでは、ほとんどすべてが非ブランドで、分けるものがほぼありません。ブランドが大きく定着するほど、問題は深刻になります。

  • 大きなブランドには、SEO 以外からのブランド需要が組み込まれている。 テレビ、PR、既存顧客、他のマーケティングチャネル、カンファレンス、創業者のポッドキャスト巡回などです。どれも SEO チームの仕事ではありませんが、すべてブランド検索としてオーガニックに現れます。
  • そのため混合した見出しの数字は、主にブランド需要の物語になる。 大企業の「オーガニックセッション 20% 増」はほぼブランドだけかもしれず、SEO チームの本当の追加貢献が隠れます。私の 最大成長のための Enterprise SEO 戦略 で述べたように、“a quick pie chart showing branded vs. unbranded traffic is likely to show that most organic visitors come from branded terms, and you should be more focused on unbranded terms.” (翻訳) 「ブランドと非ブランドのトラフィックを示す簡単な円グラフでは、オーガニック訪問者の大半がブランド用語から来ていることが分かる可能性が高く、非ブランド用語にもっと集中すべきです。」
  • ブランドトラフィックは悪くない。ただし自分の成果として独占できるものではない。 同じ記事で、“Branded traffic is a good thing. It’s high-quality and converts well, but you should be getting it even without SEO help.” (翻訳) 「ブランドトラフィックはよいものです。品質が高くコンバージョンしやすいですが、SEO の助けがなくても得られるはずです。」と説明しています。分ける目的はブランドトラフィックを否定することではなく、仕事を測る数字を隠させないことです。

非ブランドの成長は、より明確なシグナルです。自社を知らなかった 新しい 人が検索で見つけているかを示し、コンテンツの関連性に加えて クロールインデックス登録、テクニカルな健全性が意図どおり機能しているかを純粋に読む手がかりになります。エンタープライズ SEO の ROI と同じ筋道で、報告する指標は SEO が実際に引き起こしたものを分離しなければなりません。

Google が現在どのようにネイティブ表示するか

長年、この作業は手動で行うしかありませんでした。2025 年後半に変わり、Google は Search Console の Performance レポートに ブランドクエリフィルター を追加しました。この機能は “designed to help analyze the queries driving traffic to your site by automatically differentiating between branded and non-branded queries.” (翻訳) 「サイトへのトラフィックを生むクエリを分析し、ブランドクエリと非ブランドクエリを自動的に区別する」ために設計されています。Google の AI が似たクエリをまとめる Query groups の 1 か月後に提供され、2026 年 3 月には対象となるすべてのサイトへ拡大されました。

依存する前に理解しておくべきことは四つあります。

  1. regex ではなく AI 支援。 Google は明記しています。“The classification of branded versus non-branded is NOT based on a regular expression method of including or excluding keywords… It is determined by an internal, AI-assisted system.” (翻訳) 「ブランドと非ブランドの分類は、キーワードを含めるか除外する正規表現の方法に基づくものではありません。内部の AI 支援システムが決定します。」すべての言語のブランド名、綴り間違い、ブランド名なしで固有の商品を指すクエリも対象です。そのため、設計上、手作業の regex と一致しません。
  2. カスタマイズできない。 John Mueller は Search Engine Journal の報道を通じて、サイト所有者がブランド用語を追加したり AI に教えたりできないことを確認しました。“At the moment, I’m not aware of plans to provide customization, but feedback in the tool is always welcome!” (翻訳) 「現時点ではカスタマイズを提供する計画を把握していませんが、ツールへのフィードバックはいつでも歓迎します。」特定の用語をブランドとして扱うよう AI に学習させられるかと直接聞かれても、現時点ではできないと答えました。
  3. 完全な過去データ補完はない。 Mueller によると、“there’s a point when the data starts being tracked, and you’ll see that in the report if you look far enough back.” (翻訳) 「データの追跡が始まる時点があり、十分に過去へさかのぼればレポートで分かります。」古い数年分を後から分けることはできません。
  4. 対象には制限がある。 “This is only available for top level properties (and not for URL path properties… or subdomain properties),” (翻訳) 「トップレベルプロパティでのみ利用可能で、URL パスプロパティやサブドメインプロパティでは利用できません。」さらに “sites with a sufficient volume of queries and impressions.” (翻訳) 「クエリと表示回数が十分にあるサイト」に限られます。サブプロパティと低ボリュームサイトは対象外です。

もう一つ、関係者に必ず伝える注意点があります。フィルターは “has no effect on how Google Search ranking works.” (翻訳) 「Google 検索のランキングの仕組みには影響しません」。分析用のレンズにすぎません。

Bing に相当機能はありません。 Bing Webmaster Tools の Search Performance レポートにはクエリ、表示回数、クリック数、CTR、掲載順位という同じ素材がありますが、ネイティブのブランド/非ブランド分割はありません。Bing のデータでは Excel、Looker Studio、regex フィルターなどで後から手動分類します。二つの検索エンジンがここで一致すると決めつけないでください。

自分で分ける方法

ネイティブフィルターは最初の確認に便利ですが、定義をチーム間・時間をまたいで説明可能かつ一貫させるなら、維持する社内方式も必要です。実務で使う構成は、私の Enterprise SEO のストーリーテリング で説明したものとほぼ同じです。“I typically split branded and non-branded terms with Looker Studio and a custom list of branded terms. You can use either GSC or Ahrefs data for it.” (翻訳) 「通常は Looker Studio とブランド用語のカスタムリストでブランドと非ブランドを分けます。GSC または Ahrefs のどちらのデータも使えます。」

1. ブランド用語リストを作り、維持する。 すべての手動方式の基礎です。次を含めます。

  • 正確なブランド名と、法的名称/DBA のバリエーション。
  • よくある綴り間違いとタイプミス(キーボードの隣接ミスや音に基づく綴り。「gogle」「gmial」など)。
  • スペースとハイフンのバリエーション(「wellsfargo」「wells fargo」)。
  • 自社に固有に結びつく商品名とサービス名。
  • グローバルブランドなら、各国の綴りと音訳。

バージョンを付けます。コードと同じように扱ってください。静かに変わる定義は前年同期比較を壊します。Google の AI フィルターが肩代わりしてくれる部分だからこそ、説明可能な報告のために自分のリストを持ち続けます。

2. GSC と GA4 で regex を使う。 GSC の Performance レポートには「Filter by query」のカスタム(regex)オプションがあり、GA4 ではランディングページのクエリを使ってフィルターやオーディエンス/セグメントを作れます。ブランド用語に一致させてブランドトラフィックを取り出し、逆に一致しないものを非ブランドにします。GA4 にはブランド/非ブランドのネイティブレポートがありません。そのため、維持したリストに対する regex が GA4 で分類する 唯一の方法 であり、GSC にネイティブフィルターがあっても自分のリストが必要な理由です。適応しやすい regex と Looker Studio フィールドは Scripts レンズを参照してください。

分割を報告する前に、データの盲点を把握する。 regex フィルターが実行され、ネイティブフィルターが分類するクエリレベルの GSC データは、匿名化クエリを除外します。プライバシーリスクなしに個別表示できるほど検索者が多くないクエリ(2〜3 か月の期間で数十人程度)です。Google 自身の例では、クエリ集合に用語を含めると 175 クリック、同じ用語を除外すると 275 クリックになり、二つを足すと 450 行相当になる一方、匿名化クリックも数えるグラフの合計は 550 になります。ブランドクリックと非ブランドクリックを足しても、サイト全体のオーガニッククリックには一致しません。これは壊れた用語リストや計算ミスではなく、想定されたプライバシー処理です。二つの割合はサイト全体の未フィルター合計ではなく、分類済み合計(項目化された行の合計)を分母にして報告し、方法論の注記にも書きます。また Performance レポートの UI はエクスポートを 1 000 行に制限します。Search Analytics API はリクエストあたり最大 25 000 行を返し、startRow でページ分割して 1 日 50 000 行の上限まで取得できます。大規模サイトが完全なクエリリストを分けるには、画面上の表ではなく API または BigQuery エクスポートが必要です。

3. Looker Studio で一度作る。 毎月手動で再フィルターする代わりに、GSC(または Ahrefs)のデータを Looker Studio ダッシュボードに接続し、リストに基づいて各クエリをブランドまたは非ブランドにタグ付けする計算フィールドを作ります。分割が保存されたビューになり、作業ではなくなります。

4. タグで順位レベルにも分ける。 分ける価値があるのはトラフィックだけではありません。Ahrefs Rank Tracker ではキーワードにタグを付け、クリックだけでなくブランド/非ブランドの 順位と可視性 を見られます。同じ記事で述べたように、“Rank Tracker allows for custom segmentation via a flexible tagging system” (翻訳) 「Rank Tracker では柔軟なタグシステムによるカスタム分類ができます」。ブランド/非ブランド、商品ライン、事業部、著者など、報告に必要な単位でタグを付けられます。

5. 長い履歴が必要なときだけ BigQuery を使う。 GSC の UI が保持するのは約 16 か月です。複数年のトレンドが必要なら、GSC データを BigQuery に一括エクスポートしてそこで regex を実行します。社内チームの多くには重いエンジニアリング作業なので、標準ではなく「約 16 か月を超える履歴が必要」な場合の選択肢と考えます。GSC BigQuery エクスポートの詳しい解説も参照してください。

役員に報告する

分割は報告が伝わって初めて価値があります。ルールは三つです。

  • 一つに混ぜず、必ず二つの行にする。 ブランドと非ブランドを別系列で報告します。スライド上で合計し直した瞬間に、分けた目的が消えます。
  • 収益または競争上の文脈と組み合わせる。 生のトラフィック数だけでは役員は動きません。非ブランドの成長をパイプライン、収益、シェア・オブ・ボイスに結びつけます。エンタープライズ SEO レポートROI に通じる同じ規律です。
  • 可視化は極めて簡単にする。 私の定番はブランドと非ブランドを示す単純な円グラフです。「オーガニックの大半はブランド需要だから、非ブランドを伸ばそう」という主張を一目で伝えます。誰も読まない精密なグラフより、記憶に残るグラフが有効です。

スライドに載らない注意点:ブランドの増加は自動的に勝利ではない

ブランド検索が増えると成功に感じますが、必ずしも自分の仕事が原因とは限りません。2026 年には、自分の功績だと主張できないものが原因になるケースが増えています。PR の話題、広告キャンペーン、カンファレンス登壇、AI Overview や AI 検索の回答で引用されたことによる想起の形成などで、ブランド/ダイレクトトラフィックが増えることがあります。クリックなしで記憶に残り、数日後にブランドを検索して Direct として到達する流れです。ブランド増加を SEO の功績にする前に、非ブランドも動いているか確認します。ブランドが上がって非ブランドが横ばいなら、それはブランド認知の物語であり、SEO 戦略が機能した証拠ではありません。AI の回答がファネルを変えるほど、分割は より 重要になります。AI トラフィックのアトリビューションと、広いダークファネルの問題にもつながります。

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